いつも痛い
少し動くと痛い
我慢できないほどではないけど、もう長いこと、何年も痛い
これって何なんでしょう。
どこかを怪我していて痛い場合、その怪我自体が何年も治らないことは考えにくいし、例えば椎間板ヘルニアなども、ヘルニア自体は数か月で吸収されるので、ヘルニアというものは存在しなくなっているはずなのに自分はヘルニアだからずっと痛い、そこを動かすのが怖いなんてことを聞くことがあります。
痛みを探すのが上手になってしまっているんだね。
と表現されることがありますが、痛みの閾値が下がってしまっている人は、痛みを感じる信号を受け取りやすくなっているのかもしれません。
脳の中で、意識に上る感覚を受け取っているのが皮質と呼ばれる部分です。
皮質は身体の中から視床という部分に伝わってきた感覚情報のどれを受け取るのか選んでいます。
体中の情報を全部感じていては次の行動に移すのにも、ものを考えるにも情報量が多すぎる。
だから必要だと思う情報だけを選んで感じている。
例えば、今足の裏はどんな感覚ですか?どんな感覚の靴下はいてる?床の素材はどんな感じ?と聞かれれば、うーんこんな感じ?とイメージが湧きますが、言われるまでそこの感覚はなかった人が多いのではないでしょうか。たまたま足裏はあったとしても、じゃあ胸椎の上部は?仙腸関節は?場所が変われば、ずっといつも感じ続けている人はいないと思います。
その感覚はずっと前からそこにあった。でもその感覚を感じていなかった。
こういう話です。
痛みを感じやすい人の話に戻します。
痛みを感じやすい箇所に対して、動かしても大丈夫と知らせてあげる(アイソメトリックから最大可動域まで、スピードの変化もつけて。痛みを感じる神経伝達より、動きの神経伝達速度の方が早いから)、痛み以外の感覚(さする、温める、冷やす、振動させる、押しながら動かす、鍼などをするなど)をその場所に与えてあげる、というのは考えやすい対策ですが、それ以外に
呼吸の改善
というのも痛みの変化には効果のある考え方です。
呼吸は体内感覚を刺激します。
体内感覚は脳の中の島皮質と呼ばれる場所で処理されています。
島皮質は痛みを感じる度合いの調整をしています。
呼吸を通じて体内の感覚に意識を向けることで、痛みではないものに意識を向けるようになっていくことで、脳の働き方自体を変えていく。
痛みを探すのではなく、別なものを感じられるようになることで、「大丈夫」と判断できるようになり、痛み自体を手放すことにつながっていくと考えられます。
呼吸のエクササイズはピラティスが得意とするところ。
色んなバリエーションがありますが、何もなくてもどこでもできるエクササイズを一つ。
①座った状態で左右の鎖骨を両手でそれぞれ触ります
②片側の鎖骨が天井向きに上がるように側屈します(上になる鎖骨と同じ側の座骨が床から浮かないように)
③そこで大きく息を吸って
④次に上側の鎖骨が身体の前に来るように身体をねじります(うつむきながら後ろを振り返るような感じ)
⑤またその位置で息を大きく吸って
⑥元の位置に戻り、①~⑤を同じ側であと2回繰り返します
やった側(鎖骨を上に向けたり前に回したりした側)とやっていない側の呼吸の入りやすさは変わりますか?
多分変わりる人が多いと思います。
ピラティスでは、その人の個性に合わせてマシンやプロップスを利用しながら、ポジションや重力のかかる向きを変えながら、動きを利用しながら、呼吸や動きを全体的にトレーニングしていくことができます。
とってもヘルシー!
痛みが続くのはつらいけど、結局は、動かしてなんぼ、使ってなんぼなんですよね。
痛みがある人が自分の身体をもう一度信頼できるようになるように、わずかでもお手伝いできるよう勉強を続けます。