Yukikoのブログ

新潟市プライベート専門ピラティスStudio Fuu Yukikoのピラティスや日常のこと。プロフィール→http://yukiko-pilates.hatenablog.com/entry/2015/05/13/プロフィール

お腹と腰の共依存

コア(横隔膜、腹横筋、多裂筋、骨盤底筋群、大腰筋後部繊維)の筋肉は私たちの姿勢を保ったり、空間を作ったり、よい圧をかけるために日々お仕事をしてくれています。

 

コアの筋肉のトレーニングとして、腹筋の筋トレばかりをするわけではないことは、レッスンに来て下さっている方ならよくご存知だと思いますが、これには理由があります。

 

腰骨を動かさずに座骨を広げて床に向けて、とか、心臓を背骨の方に重たくして、とか、変な言葉をかけているのは、いじわるだからじゃないんです。

 

以下、専門的なお話になります。

 

お腹の周りをベルトや帯のように囲う筋肉、腹横筋や内腹斜筋など深部腹筋群と、背骨の傍にある筋肉の傍脊柱筋の共同の働きについて2014年に研究が発表されています。

onlinelibrary.wiley.com

 

傍脊柱筋というのは、背骨のすぐ傍を通る、横突棘筋群(回旋筋、多裂筋、半棘筋)と脊柱起立筋(腸肋筋、最長筋、胸・腰・頸棘筋)と呼ばれる筋肉たちのことで、これらの筋肉たちは胸腰筋膜という腰のところにある背中やお尻の筋肉を包む筋膜の中に含まれています。

 

傍脊柱筋たちは、腰骨の背骨のすぐ脇で胸腰筋膜の中の一つのコンパートメントの中に収納されています。(赤い丸のところ)

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(画像は論文内から引用しています)

 

これは腰椎2番と3番(おへその後ろくらいのところ)に作られている柵のようなもので、この柵は筋膜なので伸縮性があり、中で傍脊柱筋が収縮して膨張すると、柵にもテンションがかかります。

 

緑色のアンダーバーを引いたものは腹横筋と内腹斜筋の共有の腱です。

赤丸が膨らむと(傍脊柱筋が収縮すると)、緑ラインの腱を引っ張り、深部腹筋群にテンションを伝えます。

これはこの腱が深部腹筋群と傍脊柱筋との間の力伝達のための強固なアンカーまたは継目として働いているということです。

 

傍脊柱筋と横腹部、内斜筋との間の均等張力は、胸腰筋膜を通じて背骨を後ろ側にガードして、コアの安定を作ります。

胸腰筋膜の後方層では、繊維が水平から40°くらいまで交差しながら厚みをつくっていて、それはまるで椎間板の繊維輪のようになっています。

傍脊柱筋の収縮は胸腰筋膜が横方向に伸ばされてしまうことを防ぎ、深部腹筋群との共同収縮によって、腰椎を少しだけ内側に引きつけます。

 

例えば私たちが椅子から立ち上がる時、その「受動的な」伸長モーメントの25%未満は椎間板、および靭帯からきて、残りは胸腰筋膜の弾力性や棘上靭帯、周囲の筋膜組織、腹腔内圧のような非収縮性組織から生じるとこの研究では考えられています。

日常生活の中で椅子から立ち上がる、ベッドから起き上がる、階段を上る、など、何気なく行っている動作が、収縮する筋組織による、「腹筋を使っている!」という感覚だけではなく、組織そのものが持つ弾力性であったり、内側からの圧であったりによって支えられているということが言われています。

(筋肉を使わない、というわけではありません)

 

もしも傍脊柱筋の収縮がないまま深部腹筋群を収縮させると、背骨は側屈もしくは前屈方向に引かれます。

逆に傍脊柱筋が収縮し、深部腹筋群の収縮がないと、背骨は少し後ろへ引かれて(反る方向)、かつ、傍脊柱筋のコンパートメントの圧は大きくなります。

 

どちらの場合もその状態が長く続くと傍脊柱筋の機能不全につながり腰痛になったり、背骨の動きが出にくくなってしまったりしてしまいます。

 

この研究では、深部腹部と腰部の背骨の周りの筋のバランスのとれた緊張を伴う共依存機構があることを明らかにしています。

特に傍脊柱筋の堅牢な収縮は、それを包む胸腰筋膜の筒の形を変化させ、それが深部腹筋群とコミュニケーションを取り、背骨の安定を作っているという点で、これをエクササイズに落とし込むと、エクササイズをどのような姿勢(アライメント)で行うかということがとても大事であることがインストラクターとしては見逃せません。

 

 

お腹と腰、両方にテンションがいる。

というのが、この研究で言っていることだと思います。

体幹を鍛える、という時に、腰を丸めてエクササイズをしてばかりいたら、傍脊柱筋と腹筋の共同収縮の感覚は覚えられません。

 

ピラティスやヨガのレッスンに行って、マットに座る時、腰が丸まったままでいいですとは誰も言いませんよね。

お尻のお肉をかきわけて座骨を立てて座りましょうとか、必要ならばお尻の下にクッションを入れて、とか、きっと聞いていると思います。

もちろん、背骨の動きを引き出すために、とか、空間を作りながら骨盤と股関節を動かすためにとか、様々な理由で腰骨を前屈方向に動かしながらエクササイズすることもあります。

インストラクターとしては、なぜ、どこに向けて、どんな理由で、そのエクササイズをやってもらっているのかということを自分自身が認識できるために、このような難しい理論にも頭の周りに小鳥を飛ばしながら勉強しています。(小鳥が飛ぶかどうかは人によります。わたしは飛ぶ…)

 

どんどん新しい発見があり、研究が発表されていく中で、実際に皆さんの元にどのくらいシンプルに分かりやすく伝えるか、ということを考えていくと、自分にとってはそれが難しくもありますし、でも果てしなくてワクワクする部分でもあります。

 

これさえやればOK!みたいなエクササイズがないのも、こういった色んな理論があるからで、そんな簡単に何かできるなら私も飛びつきたいところですが、やはり細々とした面倒なことでも丁寧にやっていかなきゃいけないのね~と思います。

 

それにしても、先人たちの苦労や工夫や知識発想にはただただひれ伏すばかり。

はぁ~すごい。

 

 

 

※この記事は、今年9月に受けたマリジョゼのコースの時に、読んどきなさいね、宿題ね。と言われた論文を元に書きました。

二次発信ですし、私の読み方によって、この論文の著者の本意ではないことを書いていないか細心の注意はしていますが、もしも間違ったことが書かれていたり、ねじ曲がった表現になっている場合は本投稿を削除または修正し、お詫び致します。

何かありましたら、ご連絡頂ければと思いますので、どうぞよろしくお願い致します。

 

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こだわり体質にはたまらない、OK GoのMV。

高画質で見てね、とのことです。

youtu.be

 いつもMVがすごくて、OK GoのMVだけでしばらくYouTubeサーフィンしてしまう。。

 

やっていることは単純かもしれないけど、一つ一つの作業のめんどくささと、正確さには職人魂を感じずにはいられない!

  

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