妊娠中や産後に骨盤底のトラブルを抱えることはよくあることです。
そのトラブルは何に原因にあるのかによってアプローチを変えていく必要があります。
例えば尿漏れは、骨盤底筋が骨盤底筋が過活動になっているのか、伸縮性に乏しいのかなどによって戦略が変わります。
一般的に言うケーゲル体操のようなものは、「骨盤底筋を引き締めて、引き上げて」と指導するものが多いですが、そもそも骨盤底筋が過活動で固くなっている場合、これ以上筋肉を使って固めることは逆効果になる場合があります。
逆に伸縮性に乏しい場合には意識的に「引き締め、引き上げる」ことが有効な場合もあります。
妊娠後期であっても適切な対処ができることで尿漏れなども改善できることが研究で分かっています。
尿漏れ、と聞いたら全部が骨盤底筋を収縮させるトレーニングすればいいんだ!と思ってしまう前に、骨盤底筋がどんな状態だと理解するか、そして状態に合わせてどのような方法で困りごとにアプローチするのかについて書いてみようと思います。
★骨盤底筋の状態(複合的に起きている場合もあります)
1.慢性的に圧迫されて疲労(伸びている)
タイプ:収縮されるべき時に反応できない、弱っている
症状:くしゃみ・ジャンプなどの尿漏れ・腰痛
日常生活:猫背、骨盤を後傾させて長時間座っている、胸郭が固い
アプローチ:持久力・パワー・瞬発性・滑走性・横隔膜と肋骨の可動
①物などにつかまりながら背中を丸めて背中に呼吸
②仰向けに寝て足を身体の反対側に倒し腰や胸の前に呼吸
③仰向けに寝て、最大まで息を吐ききって肋骨を締め切った後にリラックスすると息を吸いながら胸が自然と広がりふわっと広がるのを感じる(広がる方が大切)
④③の広がった状態を保ちながら息を吐く
⑤④を行いながら吐く息で骨盤底筋を軽く締め、吸う息でリラックスする
2.伸縮性に乏しい
タイプ:体勢によって簡単に開いてしまう。弱っている。
症状:お風呂から出た時に膣から湯漏れする・膣の空気漏れ
日常生活:スウェイバック、反り腰、下腹が出やすい、あまり歩かないなど
アプローチ:パワー・持久力・座骨と座骨の距離を縮めたり伸ばしたりする
①膝を立てて仰向けに寝て、骨盤の出っ張りの内側やおへその下を触りながら呼吸。息を吐く時に指の下でお腹が固く盛り上がらない
②お腹が固くならないように骨盤を後傾させたり前傾させたりする
③お腹が固くならないように骨盤底の3か所の開口部を優しく締めたり(吐く)・開いたり(吸う)
④お腹が固くならないように吐く息で骨盤底の臓器(膀胱・子宮・直腸)を胸の方へ引き上げ、吸いながらリラックスする
3.過活動(常に収縮)
タイプ:緩めたいときに緩まらない。頑張りすぎ。
症状:残尿による頻尿、性交痛、反り腰ではないのに腰痛
日常生活:フラットバック、立ちっぱなしの仕事など
アプローチ:リラックス・滑走性・減圧・横隔膜
①骨盤底を胸郭より高い位置にして重力から解放して呼吸(仰向けでお尻の下にヨガブロックなどを置く、肘付き四つん這いで骨盤の位置を上げるなど)
②胸郭周辺(肩・腰なども含む)のリリース
③内閉鎖筋(座骨の内側)や梨状筋(大転子と仙骨の間)をテニスボールなどでリリース
④骨盤底筋をぐっと収縮させた後、リラックスして筋肉が弛緩するのを感じる
⑤ものにつかまりながらフルスクワットの姿勢で胸郭を広げるように呼吸
経験的に、直腸が仙骨に寄りかかってしまって仙骨が後傾しすぎたままエクササイズしている人をよく見ます。
直腸が仙骨から離れるように、とキューイングすることで多裂筋とのつながりも出やすく、股関節からの動きを誘導しやすくなることが多いです。
骨盤底筋群の中で最大の筋肉は肛門挙筋群(恥骨尾骨筋・腸骨尾骨筋・恥骨直腸筋)なので、直腸や尾骨へのキューイングはとても理に敵っていると感じます。
尿漏れは骨盤底筋自体の問題と言うより、胸郭へのアプローチの方が有効な場合が多いという研究もあります。
自分の経験上もそう感じます。
基本に立ち返り、やっぱりコアって大事なのよね。
と何周目でも思います。
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ラジオをはじめて、よし、やるからには毎日配信するぞ!と心に決めて、自分の頭をまとめるために毎日配信しています。
自分が話しているのを聞くと、全然頭の中まとまってない!ということが分かる。分かる。
何の話をしてるのよ。って。聞きにくいなぁって思いますが、続けられる限り自分へのトレーニングとして続けてみようと思っています。