コアの筋肉と呼ばれるものが一般的に4つから5つある中で、個人的に一番反応を見たい場所が多裂筋です。
★一般的に言われるコアの筋肉
横隔膜、腹横筋、骨盤底筋、腰部多裂筋、(大腰筋後部繊維)
多裂筋は脊柱の椎体をまたいで付着し、その機能はわずかな回旋・側屈、伸展がありますが、何よりもまず、背骨を安定させる、という大事な仕事があります。
多裂筋は、胸腰筋膜の一番深い層で腹横筋とつながっています。
これは腹横筋→多裂筋、という順番でスイッチが入るのではなく、多裂筋の適切な収縮で筋膜が張力を持ち、腹横筋を「引っ張ってくる」というのがうまくコアが働くコツだと思っています。
コアはそれ単体で働くことはなく、(他の筋肉もそうですが)一つがうまく収縮すると他の人たち(横隔膜、腹横筋、骨盤底筋、大腰筋)も一緒にユニットとして働いてくれます。
コアのユニットが良いトーンを作れているとき、人はどこに向かっても動き出せる。どんな揺れにも対応できる。その状態を瞬発でなくある程度の時間保持できる。
スポーツで言えば予備動作とか前駆動作、バレエで言えばプレパレーション。
動き出す前にやっていること。
そのきっかけを作ってくれるのが多裂筋です。
多裂筋が適切な収縮を起こしているとき、腰椎は「伸びている」ように感じます。
多裂筋というのは腰部を過剰に反ることで反応を起こすものでもなければ、「短く使う」ものでもないと考えています。
このために必要なのは言わずもがな、腰椎以外の適切なポジショニング、ということになります。
逆に言えば、頭部の位置、胸郭の位置、骨盤の位置、股関節の位置が適切で、床反力があれば、多裂筋はスターターとして働こうと思わなくても働いてる、という状況が作れます。
多裂筋というのはリリースする場所というよりも、活性化させる、目覚めさせる場所という場合が多く、現代人の座りっぱなし、しかも骨盤後傾したまま、なんて方は間違いなく多裂筋の反応は出にくくなっています。
お尻をプリっとさせたくてお尻の大きな筋肉に力を入れっぱなしとか、骨盤底筋のトレーニングで膣を引き入れっぱなしとか、やりようによってはうまく入らないどころかぎっくり腰や膝痛一直線なんて場合もなきにしもあらず。
多裂筋のトレーニングにおすすめなのが、ゆっくり歩くことです。
理学療法士でウィメンズヘルスのスペシャリスト、Diane Leeさんの文献の中で、多裂筋の反応が、ゆっくり歩いているときはほぼ100%、早歩きだと少し減り、走っているときは一瞬完全に抜ける瞬間がある、という文献がありました。
走っているときに抜けるのは床反力がなくなるからと想像しますが、面白いなぁと思います。
ただ、歩いているときの後ろ足、股関節の伸展が適切に出ないと多裂筋の反応もうまく出にくくなってしまうので、股関節をどう伸展させていくのか、またそのうち記事を書いてみようと思います!
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Studio Fuu
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