Yukikoのブログ

新潟市プライベート専門ピラティスStudio Fuu Yukikoのピラティスや日常のこと。プロフィール→http://yukiko-pilates.hatenablog.com/entry/2015/05/13/プロフィール

脳の情報源インプット トレーニングできる感覚とは

前々回では脳のお仕事は身体を守ることですと言う話を

脳の役割は身体を守ること - Yukikoのブログ

前回は神経の働きは3つだけだという話をしてきました。

神経の働きは3つだけ - Yukikoのブログ

そして根本解決につなげるには、脳が集めているインプットの情報精度を上げていくことでアウトプットが変わるというお話をしていきました。

 

今回はインプットの種類についてお話しします。

 

インプットはざっくり3種類あります。

①外受容感覚

五感と前庭覚

②固有受容感覚

関節のポジション、動きの感覚、筋骨格

②内受容感覚

心拍、呼吸、内臓、体温、身体の所有感

 

この3つの感覚の何かが不足すると、脳が安心できず危険を感じ不調を作り出してしまうかもしれません。

逆に言えば、これだけアプローチできるインプット情報があるとも言えます。

 

この中でも特にトレーニングできる感覚として、3つの感覚をご紹介します。

 

1.視覚

そのままですね。目でみえているもの、です。

 

2.前庭覚

バランス感覚やスピード感覚です。

目を閉じていても、電車が前に進んでいるか、横向きに座っているなら右へ進んでいるか、左なのか、分かりますよね。目を閉じていてもエレベーターが下に行っているのか上に行っているのかも分かると思います。自転車で坂を下る時と登る時のスピードの違いは目を閉じていても分かりますよね。それが前庭覚がキャッチしてくれている感覚です。

 

3.体性感覚

触覚と固有受容感覚を併せて体性感覚と言っています。身体動いてますよ、ここにありますよセンサーとでも言いましょうか。

触覚は触られる感覚、固有受容感覚は関節がどの位置にあるか、筋肉がどのくらい収縮しているか分かる感覚です。

 

 

細かく見ていきます。

 

1.視覚

私たちはありのままの世界を見ていません。

身体を通じて感じている世界を「こうであろう」と解釈しています。

毎日通勤する場所にある雑草が、ある日花が咲いていても気がつかない。

バレエの先生のお手本を見ているつもりで、足元しか見ていない、その時の背骨や腕や指先や目線、音の中でどんな風にそれを移り変わらせているか、見えていないから、先生の踊りとは何か違う。

 

見る、とは感覚機能と運動機能のダイナミックで相互的なプロセスがあり、目を介して姿勢や動きを同時制御し、周りの状況操作や高度な認知と思考に関わるものです。

それが何か分かる、空間の中で距離感が分かる。

見たいものの方へ身体を動かす。ごく自然に私たちがやっていることです。

 

視覚は3つのトレーニングできるインプットの中でも脳に与える影響がとても多く、7〜9割は視覚からの情報に頼っていると言われています。

太ももの筋肉を動かす神経は1本につき4,000本の筋繊維を動かす。

繊細な動きが要求される手の筋肉を動かす神経は1本につき100本の筋繊維を。

しかし目の筋肉の場合は1本の神経につき1〜10本の筋繊維を動かすと言われています。

実は身体の中で最も繊細に働く筋肉が目の筋肉。

それだけ正確に動きたいために、神経の数が太ももとはけた違いの数になっているのでしょう。

目の使い方の癖は身体への影響が無意識レベルで非常に大きいです。

 

 

2.前庭覚

前庭覚は

頭の動きに対して目を安定させる。

頭の動きに対して首を安定させる。

頭の動きに対して背骨を安定させる。

というのが仕事になります。

三半規管と耳石器という言葉を聞いたことがある人が多いと思いますが、前庭覚は耳の中にセンサーがあります。つまり頭の左右にセンサーがあります。

この働きが左右で違っていると、頭の位置が真ん中に来ません。(実際には目を開けて見ているので視覚に修正されて頭は真ん中にいることもありますが、その場合も目を閉じると斜めを向いたり傾くことがあります。)

身体に左右差がある場合、左右の前庭覚のどの部位の刺激が足りないのか、チェックしていくことは必ず必要になってきます。

天気病?のような、気圧の変化で体調を崩す方もここの働きが落ちていると考えられています。

ちなみに、前庭覚はバランス感覚と書きましたが、バランスボールの上やバランスパットの上でバランスを取るようなトレーニングは、前庭覚(バランス感覚)のトレーニングにはなりません。頭の位置が変わらないと前庭覚は鍛えられないので、バランス感覚を鍛えようと思ったら頭を動かすものを選びましょう。

眼を閉じたまま、両足を閉じて立ち、頭を上下左右に振るとか回すとか。ベッドでごろごろ転がるとか。ブランコに乗るとか。

 

3.体性感覚

視覚や前庭覚は頭部にあるセンサーでしたが、体性感覚のセンサーは全身に広がっています。

触覚には、熱や圧、振動や痛み、優しく気持ちよい感覚、危なくて不快な感覚など、それぞれの種類の刺激をキャッチするセンサーがそれぞれあります。

鍼やマッサージはこの仕組みを使って身体が楽になる(=脳がもらえる情報が増えて安心する)を作っています。

固有受容感覚はピラティスやヨガやランニングや筋トレ、マッサージや整体などがここへのアプローチです。

固有受容感覚のセンサーのは関節内に多く含まれています。

関節を動かす、関節の可動域があることが身体の認識を上げ、脳がその情報があることで安心するためにまた可動域を制限せずに使わせることができます。

筋肉は関節を動かすためにあるので、関節が動かない状態で筋トレばかりしていても思うような筋肉の使い方を学習できないばかりか、逆に関節の可動域を狭め、関節からの情報がもらえずに不明瞭なマップを作り出してしまうと脳はそれを脅威と感じ、さらに関節を動かさないでおこう、と判断してしまうかもしれません。もったいないことに…。

 

 

これらの感覚へアクセスし、どの部位のどの方向へのどんな刺激が足りていないのか、または過剰な刺激となっているものがあるのか、を適切に調べることは、身体をより良い方向へ導くみちしるべとなります。

 

 

 

以前に運動能力や知能を高めたいとか、集中力をつけたいとか、自己効力感を高めたいとか、そういったものの土台になるのが感覚なんですよ、とブログに書いたことがありました。

感覚を統合するとできることが増える - Yukikoのブログ

今回の話もそれに通じる話です。

 

神経の働きは3つだけ

前回の記事で脳の仕事は身体を守ることだ、という話をしました。

脳の役割は身体を守ること - Yukikoのブログ

 

私たちの脳は、危険を予測して、危険を回避するようできている。

そして、脳は予測できないこともまた危険だと判断し、身体の動きを制限してしまうことがある。

不調というのは、脳が体を守るために起こしている反応だと言うこともできるんですよ。

と言うお話でした。

 

 

このような働きは全身に張り巡らされている神経によってなされています。

 

神経の働きは3つ。

 

①インプット

自分の周囲はどんな世界なのか、自分はどうなっているのか感知する

 

②解釈

感知した情報をもとに何をするか決める

 

③アウトプット

身体、心の動き

 

これだけです。

私たちは不調がある時、つい③のアウトプットに目が行き、そこを改善しようとばかりしがちです。

運動を指導する立場でも、肩の力を抜いて、とか、手の位置はもっと下ですよ、とか、柔軟が足りないからストレッチしてねとか、最近ストレスがたまっているんじゃない?爆食いしないようにねとか、そういうのは全て③へのアドバイスです。

 

でも脳の働きを考えた時に、果たしてそれは根本的かつ長期的な解決につながるのか?

を考えなくてはなりません。

 

なぜ肩に力が入るんだろう、なぜ先生と自分の動作の違いに気がつかないんだろう、なぜ身体が硬くなるんだろう、なぜ過食になるんだろう。

 

そこで、①のインプットはどうなっているだろう?の視点が必要になってきます。

 

私たちは不安なことがある時、何をしますか?

正確な情報を探しますよね。

正確な情報があると自分のやるべきことが分かり安心する。

脳も一緒です。

 

 

脳の役割は身体を守ること

脳。

それは人間の身体の中の司令塔。

地震が来たら頭を守りなさい。

バイクでは頭を守るためにヘルメットをしましょう。

みんな当たり前に頭を大事にしていますが、その割に、じゃあ頭(脳)って何の仕事をしてるのよ。と聞かれると、えぇ~?何かを考えたり??体に指令を出したり?みたいに、意外とその役割を知らない場所かもしれません。

 

脳の仕事を一言で言い表すと

「脳は身体を守るために働く」

ということができます。

 

これは

どんな危険があるのか予測して働く

と言い換えることができ、

 

あそこの床は濡れていて滑りそうだからゆっくり歩こう

人混みの中を人にぶつからないようこのくらい荷物を自分に引き付けて通り過ぎよう

熱そうなスープだからカップをゆっくり傾けてフーフーして飲もう

怪我をしたところが痛いから、そこに体重が乗らないように避けて動こう

 

こんな感じで私たちの行動を決めていきます。

 

この予測機能は何を元に働いているのかというと、

床が濡れているか見える

人との距離感が分かる

腕の関節の位置や筋肉の収縮具合が分かる

怪我した部位の感覚がある

 

などの情報を元に働きます。

 

その情報の精度が落ちるとどうなるか?

床が滑ることに気が付かず転ぶと悪いので、目をギラギラ光らせて歩こう

人にぶつかると悪いからぎゅっと身体を縮めていよう

熱くて腐ってるスープだと悪いから肩首に力を入れよう

怪我が治ってもその場所を避けるパターンを続ける

 

情報の精度が落ち、予測機能がうまく働かない時に、脳はより身体を守ろうと働くのです。

 

こんな感じで予測能力が働かないために過剰に体を守り続けるとどうなるか。何となく想像できるかもしれませんが

 

・身体を固くする

  →可動域の減少、肩こり、腰痛などや、歪み、身体の痛みの原因に

・筋力低下

  →うまく力が入らない、代謝が落ちるなど

・防衛反射

  →頭が前に出る、肩が上がる、背中が丸くなる、歯を食いしばるなど

・精神疲労

  →疲れやすい、やる気が起きないなど

 

こういう形で身体や心に現れてくることがあります。

 

「身体を守るために働く」とは、

危険を予測して、危険を回避する仕組みのこと。

またそれは、予測できないことも危険だと判断し、身体の動きを制限してしまうことがある。

情報が不足すると身体を守りすぎてしまうため、様々な不調の原因になることがありますよ。

と言うこと。

今自分が危険かどうか分からないから不調(痛み、コリ、疲れ、ストレスなど)が起きている可能性がある、ということです。

 

 

運動をされたい方の多くは、ゆがみや疲れや筋力不足など、様々な不調を改善したいと思って、ピラティススタジオやヨガやトレーニングジムの門を叩いているのではないかと思います。

ピラティスを何年も教えていて、時々どうしても良くならない、思うような反応が起こらないと感じることがありました。

身体のゆがみや痛み改善、パフォーマンスアップから筋力アップなどは総合的に筋骨格だけへのアプローチでは解決しきれないのではないか。

そんな時に出会った神経学。

これを知らずに身体を語れないやん(エセ関西弁ごめんなさい)

というくらい、私にとっては基礎中の基礎の話でした。

今、一生懸命学んでいます。

スタジオレッスンやオンラインの配信レッスンでも脳へのアプローチも様々に考慮しながらやっていっています。

 

いやぁ本当身体っておもしろすぎますね。

何年たっても何を勉強しても何千本とレッスンしてきても、知らないことばっか。

最高です。