Yukikoのブログ

新潟市プライベート専門ピラティスStudio Fuu Yukikoのピラティスや日常のこと。プロフィール→http://yukiko-pilates.hatenablog.com/entry/2015/05/13/プロフィール

妊娠中の生理的変化と運動について

妊娠期の血圧変化

・妊娠前と変わらないか低下

普段100くらいの方が80くらいになることもある

・血圧が低くなると脳への血流が保たれない

倦怠感、疲れやすい、めまいなどが起こりやすくなる

 

血圧とは

・1回の心拍で送り出すことができる量×血管の抵抗圧

心拍は平常時50~70回くらい

 

血管抵抗圧とは

・血液が血管を押し広げる力

動脈硬化の場合押し広げる圧が高くなるから血圧が上がる

血管の弾力が血圧に関わる

 

妊娠中に血圧が下がるのはなぜか

・妊娠中は赤ちゃんの分の水分量や羊水により、身体の水分量が増える

・全身をめぐる血液量が増える

・心臓から出る血液量も増える

プロゲステロンの影響により血管平滑筋の弛緩が起こるため、末梢血管抵抗性が下がる

妊娠中の生理的変化のため、できることは何もない

 

妊娠中の低血圧に対する運動

ふらふらする、めまいがする、疲れやすいなどの場合も、妊婦検診の結果が徐々に低血圧になっている場合は、ホルモンによる生理的変化のためなので、運動を制限するメリットより、運動をするメリットが上回る場合もあります。

 

もしも抵抗圧に変化がなかったら

・妊娠高血圧

 

妊娠期の貧血

・動悸、立ちくらみ、疲労感、息切れ

低血圧の症状と似ているため、妊婦検診の血液検査の結果を見て、どちらに由来するものなのか判断します

 

妊娠期に貧血になりやすい原因

・水血症になるため

・胎児への鉄分供給量が増えるため

 

血液の分類

血漿成分

主に水。たんぱく質、脂質、糖質、電解質

・血球成分

赤血球、白血球、血小板など

こちらが貧血に関わる

 

水血症とは

血漿成分だけが増えること

妊娠前と血球成分の量は変わらないのに、血漿成分が増えることで血液が薄まる

 

妊娠期のむくみ

・動脈から水分が出る

・老廃物が静脈へ戻る

アルブミン(血液中のたんぱく質)が水分を引き付けることで静脈内に水分が戻ることができる

・戻りきれないものはリンパ液に行く

・妊娠中は血液成分が相対的に薄くなるため、アルブミンの量も相対的に減ってしまう。そのため、老廃物が静脈に戻ることができず、むくみにつながる

・赤ちゃんが大きくなって、動脈と静脈を圧迫することでむくむ

 

お腹が張る

何かしらの原因により子宮が収縮している状態

①生理的収縮

②胎動による収縮

③靭帯、皮膚の引っ張りによる収縮

④切迫早産所見

 

①生理的収縮

妊娠中期以降、つわりが治まり活動量が増える時期に伴い起こることが多い

・安静にするとすぐ治る

・痛みを伴わない

・繰り返さない

1日1.2回。後期でも1日3.4回

・立ち上がると張る、などは違う

 

②胎動による収縮

赤ちゃんが動いて子宮が一時的に広がり、元に戻る時に収縮を感じる

・持続しない

・痛みを伴わない

お腹が張っているのか、胎動なのかどちらか判断しづらい

 

③靭帯、皮膚の引っ張りによる収縮

実際には子宮収縮は起こっていないが、靭帯や皮膚が引っ張られることによって子宮が収縮しているように感じる

・持続する収縮感を感じるが、お腹を触ると柔らかい

・座位になったり横になるとツッパリ感が取れて改善する人もいる

 

④切迫早産

・動くたびに子宮の収縮を感じる

・安静時にも子宮の収縮を感じる

・お腹が固くなっていると感じる

・頻回に起こる

・出血や痛みを伴う

日中は立仕事で夜になるとカチカチ、1時間に3.4回張る、痛い感じがするなどの場合は運動はストップし受診して確認を

 

妊娠期の運動について

良好な妊娠経過をたどっている場合、妊娠期に適度な運動を行うことは、母親だけでなく胎児にとっても良い影響があることが数々の研究で分かっています。

 

妊娠期の運動はガイドラインに沿って行います

https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/report_pdf/202009034A-buntan18_0.pdf

 

妊娠中の運動についての記事はこちら

妊娠中のピラティスやヨガなどの運動について①初期(~12週) - Yukikoのブログ

 

妊娠中のピラティスやヨガなどの運動について②中期(13〜26週) - Yukikoのブログ

 

妊娠中のピラティスやヨガなどの運動について③後期(27週~) - Yukikoのブログ

触覚を深掘りする

感覚ってあれでしょ、五感でしょ?

味覚・視覚・嗅覚・聴覚・触覚でしょ??

 

これくらいは多分一般の方でもよく知っていることだと思います。

その中の触覚について今日は深掘ってみたいと思います。

 

皮膚に触られる感覚のことよね。

その通りなのですが、一言に触れた感覚、と言っても私たちは様々な感覚を持ち合わせています。

 

Aグループ

・優しいタッチ

・心地よい圧

・振動(バイブレーション)

・2点識別(二か所に触れた時に、それが別々の場所だと分かる最短距離)

 

Bグループ

・温度

・痛み

・粗雑なタッチ

・かゆみ

・くすぐったさ

 

一言に触覚といっても、私たちの身体はこれだけの「触覚」をそれぞれ別のものとして認識しています。

 

以前お話した脳内にある身体マップが不明瞭だと、身体が固くなったり痛みを誘発したりして動きを制限してしまいますよ。というお話に通じるのですが、

筋力=筋肉の量ではない - Yukikoのブログ

触覚の中でも特にAグループの感覚が足りなくなっている人は、例えばアロママッサージなどに行くととてもリラックスできたり身体が楽になったりするかもしれません。

逆にBグループの刺激が足りない人は、アロママッサージよりも鍼が効くかもしれません。

 

Bグループの刺激はあまり良いものじゃないんじゃない?と思うかもしれませんが、痛みや粗雑な感覚も私たちにとっては大切な情報で、マップを構成するための大事なピースです。(触覚のなかの痛覚は皮膚の上の痛みの感覚のことで、ずっと腰が痛いとか、お腹が痛いとかのような痛みをさしているわけではありません)

 

Aグループは後索路という神経の経路を通って脳に感覚情報が伝えられているのに対し、Bグループは脊髄視床路という経路で脳につながっています。

そのため人によって鍼が効く人がいれば、誰かに抱きしめてもらう(心地よい持続圧)方が効く人もいるのです。

 

 

肌と言う、伸び縮みして、傷がついても修復可能で、外敵から身体を守って、水をはじいて、自分と世界の境目になってくれて、全身を包み込んでくれている超高性能感覚器。

皮膚ってどんな服よりも価値が高い、そう思いませんか?

 

触覚を知っていると、自分に合ったセラピーも選びやすい?かもね。

 

Aグループ

・マッサージガン

電動歯ブラシ

・ゆっくり滑らすようなマッサージ

・髪の毛をブラシでとかす

・よく泡立てたタオルで身体を優しく洗う

・毛布などにくるまる

・身体をさする

 

Bグループ

・温かいお風呂につかる

・冷たいシャワーを浴びる

・ゴリゴリ押すマッサージ

・こちょこちょ

 

などなど。

どちらの刺激も大事ですということをお忘れなく。

 

 

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最近ちらほら神経学を使ったトレーニング方法というものを耳にするようになってきました。(わたしだけ??)

 

つい最近のオンラインレッスンを受けてくれているクライアントの変化(こういうの載せるのはじめてですね。)

 

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上がビフォー、下がアフター。

たった5分、目と前庭の刺激をしただけです。

筋トレもストレッチもマッサージもしていません。

良い姿勢とはどんな姿勢なのかについての説明もしていない。

それでも、お腹のふくらみ方や、肩が骨盤の真上に来ているなど変化がみえるのではないかなと思うのですがいかがでしょう。

 

私はピラティスのインストラクターなので、運動させてあげてなんぼだと思うのですが、ピラティスを極めていこうと思うとつい姿勢を整えてあげればOKになりがち。(各流派による)

でも1時間のレッスンのビフォーアフターが上の写真じゃ、遅いんですよね。

 

いかに早く良い姿勢を取らせてあげられるようになって、で、そこで運動して筋肉なり骨なりに動きを学習させてあげるからこそ、その姿勢が日常的に作れるようになっていくわけで、いくらベッドの上で動いて、最後にはい、いい姿勢になったね、ちゃんちゃん。では遅いんだよな、と思うようになりました。

 

そういう意味で、刺激の強さよりも頻度が大事な神経系エクササイズ(ほとんどのものはシンプルで簡単にできる)を自宅で頻繁にやっておいてもらうことで、勝手にさっきの写真の状態になっておいてもらって、そこで生活しておいてもらうと、次にスタジオにレッスンに来られた時もさらなる変化が早く作っていけるだろうなと思います。

 

要は、神経学とピラティスってすごく相性がいい。

というか神経学と相性の悪いものは何一つないから、これからピラティスやヨガやスポーツやウェルネス産業の中できっと皆さんも身近に出会っていくようになるのではないかなと推測します。

 

 

 

原始反射 

原始反射とは、赤ちゃんが生き延びるために持っている反射です。

 

・産道を通る

・おっぱいを飲む

・手に触れたものをつかむ

・音に反応する

 

などなど、生まれたばかりの赤ちゃんを見ていると、母親の乳首を探して咥えるとか、やっと抱っこで寝たと思ったらベッドに下ろした途端背中スイッチで起きちゃったとか、手のひらに指をそっとそえるとギューッと握ってくれるとか、そういうものは全て、反射で起きているもので、赤ちゃんが意識して随意運動のように行っているものではありません。

 

原始反射は必要な期間活動し、発育が次のステップに進むと脳の発達によって抑制されるようになっていきます。これは原始反射が消えてなくなるわけではなく、抑制されて休眠状態になっているということです。

通常どの原始反射も生後12か月程度で統合されてるものですが、この原始反射が何らかの理由で未統合だったり、脳震盪や妊娠出産、怪我、脳の機能低下などで休眠から目覚めてしまっていると、不随意(意識しない)の運動パターンが出てきてしまい、緊張や不安定さを出してしまうことがあります。

 

原始反射の中で抑制されないと発達の過程で困り感につながりやすい代表的なものをご紹介します。

 

恐怖麻痺反射

お母さんのお腹の中で受胎後2週間くらいから発現しています。母体が脅威にさらされた時、胎児は即時に運動を麻痺させ、末梢血流を制限し、心拍数を低下させます。これによって胎児はストレスが体内に入らないように自分を守るだけでなく、お母さんは生理的資源をすべて自分の生命を守るために使うことができ、結果として母体と胎児両方を守るための役割があります。

・抑制される時期

生後12週でモロー反射に統合される

・反射が残っているとどうなるか

呼吸停止(乳幼児突然死症候群との関連も考えられている)、不整脈てんかんなどの重篤なものから、圧倒的な恐怖・不安から親から離れられない、感覚過敏であらゆるものに嫌がる反応、ストレスの多い状況をうまく管理できない、他人の前で固まるなど

 

モロー反射

例えば、寝ていた赤ちゃんが突然ビクっと両腕を開いて目を覚ましオギャーオギャーと泣いているのを見たことはありませんか?

これはモロー反射と言って、外部からの突然の刺激から自分を守るために起こる不随意運動です。

・脅威となる刺激

触覚や聴覚、前庭感覚(落下感覚など)

・抑制される時期

生後4ヶ月ごろ。

・反射がのこっているとどうなるか

何かが触れたり、大きな音を聞いたり、エレベーターに乗っているだけで、過剰な自律神経の反応(発汗や心拍の上昇)身体の緊張、恐怖感が起こるなど、感覚過敏、逃避、共感性が育たない、意思決定が苦手、精神不安などにつながる

 

緊張性迷路反射

頭の前面と後面の区別と調整を助けるための反射。頭が背骨の前にある時には背骨を丸め、頭が背骨の後ろにある時には背骨を反る。

・抑制される時期

前の反射は生後4か月、後ろの反射は3歳ごろまでに統合される

・反射がのこっているとどうなるか

頭の位置に応じた筋肉の屈曲と伸展の調整ができないため、直立姿勢が取れない、頭が傾く、前庭能力(バランスを取る能力)や固有感覚(身体の位置がどこにあるかや筋肉や関節の感覚)に問題が起こる、視運動の苦手さ、空間的な身体感覚をつかむことが難しくなる

 

非対称性緊張性反射

頭が左右に向くことに反応する反射。頭が右を向くと、左腕と左脚が曲がる。うつ伏せで窒息しないために使っている。また出産時に産道を通るためにも必要。

・出現と抑制

受胎から18週で出現し、生後6か月で統合

・この反射が残っていると

身体を動かすのがぎこちなく苦手、字や絵がうまく書けない、音を聞き分けることが難しい。微細運動や粗大運動の苦手さ、聴覚処理、視覚、前庭覚、集中力、注意力などに影響。

 

対称性緊張性頸反射

頭の上下に対する不随意運動。上半身と下半身の区別と調整を助ける。重力に逆らって両手と両ひざをついてハイハイすることを可能にする。

・出現と抑制

生後6~9か月で出現し、9~11ヶ月で統合する

・この反射が残っていると

ハイハイをしない、机に突っ伏して作業する、両眼視が苦手で両目を等しく動かすことができない、手先が不器用、手と眼の協調がうまくいかない

 

脊椎ガラント反射

背骨の刺激で側屈が起こる。出産の助けになる動き

・出現と抑制

受胎後20週で出現し、生後3~9か月で統合

・この反射が残っているとどうなるか

特に左右の片方にだけ残っていると姿勢に悪影響、おねしょ、集中力の低下、これから発達していく姿勢反射(前庭動眼反射や前庭頸反射など)に影響

 

足底反射(バビンスキー反射)

直立二足歩行を行うために必要な反射。踵の外側から親指付けに向かってなぞると指が反る

・抑制

生後3ヶ月くらい

・この反射がのこっていると

つま先歩き、バランスが悪い、裸足で砂浜や芝生を歩けない、姿勢が悪くなる

 

把握反射

ものを握れるようになるための反射。物がてのひらに触れるとぎゅっと握る

・抑制

生後2~3ヶ月で統合され、生後10か月ごろからつまみ運動に移行する

・これが残っているとどうなるか

手先が不器用、スピーチや発音と関連、学習が困難

 

読んでみてくださった方は気が付いたかもしれませんが、育てるのが困難と思われるお子さんの反応が集まっているように見えるかもしれません。

発達障害と呼ばれるような方にはこれらの反応が残っていることもよく見られ、これらの反射の抑制をすることで(栄養指導などと併せて)生きづらさが軽減するよう支援をしている団体もあります。

 

もちろんこれは子供だけのものではありません。大人にも再出現している場合があり、日常の中でありふれた刺激に対して不随意にこのような反応を示してしまっていては、とても生活しにくくなってしまいそうです。

そして自分ではなかなかそれを自覚できません(不随意の反応のため)

 

大人でモロー反射が抑制できていない状態で、疲れやすいからと言って毎週マッサージに行ったり筋トレをしているだけでは状況の改善ができない場合がある。

 

これ私あるかも、息子さんや娘さんに当て余るかもと感じる方は、反射が残っているのかのチェック方法や抑制するためのエクササイズはそんなに難しいものではないので、自分のために行う程度であればYoutubeなどで検索して出てくるものを試しても大丈夫かもしれませんが、根本的には他のチェック項目と併せて栄養改善とセットで行うものなので、お子さんなどに行う場合はそのエクササイズだけで良くなることを期待せず、専門家にご相談をおねがいします。

 

 

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我が子を妊娠出産したばかりの頃はこのような知識はなかったけど、なんとなく色んな刺激をしてあげるのがいい気がして、0歳で保育園に入れなかった田舎の3月末生まれ長男は、0歳の頃は私と一緒にスタジオに出勤した後、毎日毎日外の芝生に転がして遊んだり、海へ連れて行って砂浜をずりばいさせたり水あそびしたりしていたせいか、なんだか身体が強いし、ふとした時にぐぐっとできるようになることが多い気がします。

対して生後2ヶ月で保育園に入り、全くお散歩などの外遊びがない園だった次男は皮膚が弱かったり感情コントロールがうまくいかなかったり…まだ小さいのでこれからと見守っていますが、ごめんねと言う気持ちが耐えられず、2歳になってから外遊びをたっぷりさせてくれる園に転園させたりして。

 

子連れ出勤していた一人目は大変過ぎて死にそうになっていたけど、小さい時から園に行ってくれた次男をほったらかしてしまったかと後悔しても遅し…

同じことはしてあげられなかったんだよなぁ…

 

大事な大事な子どもたちを育てさせてもらえている。

この子たちを大事にするには、知識がいるんだ、と思う夏の終わり。