前庭規管とは
・三半規管(前半器官・水平半規管・後半器官)
・耳石器(卵形嚢・球形嚢)
という左右全部で10個の耳の奥にある器官です。
その働きは、
・身体の傾きを感知する
・移動する方向を感知する
・加速度を感知する
ことです。
それにより
・どちらが上か
・どこに向かっているのか
を認識しています。
このインプットを頼りに
・バランスを保つ
・筋肉を反射で働かせる
・空間を認識する
・動きの方向性を認識する
ということを行っています。
前庭規管の特徴は
・常に働いている
というのが大きな特徴です。
例えば触覚は、触られた時は反応するけど、触られていない時は反応しません。
でも前庭規管は寝ていても起きていても座っていても、動いていなくても常に働いています。
人の身体は動くことを前提に作られています。
前庭覚は「自分の動きを正確に感じる能力」。そしてそれを元に「動きの中で身体を安定させる能力」と言うことができます。
「身体が安定する」という状態は、様々な自律神経の働きを調整する上でも重要なインプットの役割を果たします。
前庭器官の働きが落ちると
・身体の左右差
・頭が傾く
・片側の腰や膝が痛い
・猫背
・左右の視力差が激しい
・自分の身体が自分のものではない感じがする、どこに身体の部位を置いておけばいいのか分からない
・首がすぐに痛くなる
・頭がゆらゆらする
・乗り物酔いが激しい
・気候の変化で体調を崩しやすい
・特発性側弯症
・うつ病
などの症状が出ることがあります。
前庭器官はお母さんのお腹の中にいた胎児の時に最も早く作られる器官です。
前庭覚は人として様々な機能を発達させていく上で、土台となる感覚です。
この世界を自由に動き回るには、健やかな前庭器官の働きが必要なのです。
しかしこの器官はとても繊細で、歩きはじめたころよく転んで頭を打ったとか、生まれるときにへその緒が巻き付いていたとか、サッカーのヘディングをよくしていたとか、そういったことでも傷つきやすい器官なのだそうです。
次回は前庭規管の反射について書きます。
目が悪いとか、首が痛いとか、背骨周りに問題があるとか、そんなことに関係する話です。