Yukikoのブログ

新潟市プライベート専門ピラティスStudio Fuu Yukikoのピラティスや日常のこと。プロフィール→http://yukiko-pilates.hatenablog.com/entry/2015/05/13/プロフィール

見る力

これまで脳がインプットを元に統合解釈を行いアウトプットしているんだというお話をしてきましたが、そのインプットの内、70~90%を占めると言われているのが視覚情報です。

 

普段何気なく行っている「見る」という行動は、実はとても深く深く身体の動きと結びついています。

 

例えば、チカチカするものや静止した景色の中で動くものに対して、目を向けたり身体をそちらの方向へ向ける、ということを私たちは日常的に無意識の中で行っています。

目を閉じたまま片足立ちになると、目を開けて片足立ちをするよりもずっと難しいことに気が付くと思います。

 

普段何気なく行っている「見る」という行動が、実は身体を動かすためのスキルのひとつであるとは思われにくいかもしれませんが、神経的にも圧倒的に軸索の数が多いのが視神経です。

 

太ももでは、1本の神経(軸索)が4000本の筋紡錘を動かす

手では、1本の神経(軸索)が100本の筋紡錘を動かす

目では、1本の神経(軸索)が1本の筋紡錘を動かす

 

と言われています。

目はそれだけ繊細に動く必要があり、そこから送られてくる情報へ脳が意識を向けているからこそ、これだけ視神経の数が多くなっているのだと思います。

 

一般に視力というのは静止した状態で視力表を見て、1.5とか、0.8とか、測っていくものだと思いますが、視機能というのは静止した状態で視力表を見るようなものだけではなく、多くの情報を受け取っています。

例えば、

・光

・色

・奥行

・動きを感知する

などの情報から、

・どこにものがあるのか

・見ているものが何なのか

を理解しています。

 

Vision is a dynamic interactive process of motor and sensory function, mediated by the eyes for the purpose of simultaneous organization of posture, movement and spatial orientation, for manipulation of the environment and, to its highest degree, of perception and thought.” Dr. william V. Padula

ビジョン(見る力)は運動機能と感覚機能の動的で相互的なプロセス。

高度な知覚と思考を行う目的で、姿勢、動き、空間認識を同時に統合ながら理解し、環境を操作する。

by Dr.ウィリアム・V・パドゥラ

 

視機能は、日常生活を快適に行うことだけでなく、様々な状況下で正確な情報を得ること、それによって、姿勢や動作パターン、思考パターンにまで影響を与えていると考えられています。

 

また、眼の筋肉は常に前庭神経核からの情報を受けてトーンを保っているため、前庭規管とのつながりもとても深く、目とバランス感覚の両面からトレーニングをしていくことも必要です。

 

視覚の構成要素には

・解像度(静止しているもの、動いているもの)

・周辺視野(視界の端)

・ピント調節機能(違った距離にあるものに焦点を当てる能力)

・注視機能(焦点を1か所に固定する能力)

・円滑性追視機能(動くターゲットをなめらかに見続ける能力)

・跳躍性眼球運動(ターゲットの間を素早くジャンプするように見る能力)

・両眼視(両方の目が同時に同じ場所を見る能力)

立体視(3Dの物体として認識する能力)

・バージェンス(目を寄せたり開いたりする)

があります。

これらを使うことで

・視覚のどこに注意を向けるか

・パターンを認識する

・視覚的に記憶する

・見たものを認知する

などの処理を脳はしています。

そしてその解釈を元に行動を起こしているわけです。

 

情報が不足していたり、または過剰に刺激されすぎているものがある場合、正しく解釈をすることができず、脳が不安を感じ、痛みや不快感を作り出すこともあるでしょう。

 

 

 

「見る」という当たり前すぎる能力が、実は姿勢や動作に与える影響が大きいことについて書きました。

 

ということは、です。

眼鏡の使用や視力の変化、長時間の液晶画面を見続けることなどはダイレクトにその影響が出てくることが想像できます。

 

肩こりや腰痛、姿勢の崩れなど、不調の原因が目が悪くなったことだった、ということが起きてくる可能性が大いにあることを考えると、コントロールの難しい部分はあれど、子どもの視力などには特に注意を払っていきたいと思う今日この頃です。