コンクリートを全速力で走っていてトップスピードで転んだ、とか、自転車で小さな段差で横滑りして自転車の下敷きになりながら転んだとか、熱い鍋のふちに手が当たってやけどをした痕が残っているとか、日常生活送っていると幼き日に作った傷跡のひとつやふたつ、大体の人が持っているものではないでしょうか。
他にも外科手術をしたことがある、大やけどを負ったことがある、傷口を縫ったことがあるなど、大きな瘢痕(はんこん)組織として身体に傷跡が残っている方もいらっしゃると思います。
瘢痕形成は、怪我や手術後の正常な反応で、体が損傷した構造を治すために起こっています。
瘢痕組織と呼ばれる傷跡は、表面の皮膚のみが関与する場合もあれば、神経や腱など、皮膚の下のより深い組織が関与する場合もあります。
その中でも赤く、隆起し、硬く、厚い傷跡は活動性瘢痕(active scars)と呼ばれ、これが原因で過度に敏感(動きや感覚刺激が足りないことでほんの少しの刺激に対して過剰な反応をしてしまう、という意味)になり、動きや機能を制限している可能性があります。
もし傷跡になっている部分がご自分にあったら試してみてください。
(念のため受傷や手術から1年以上たっている瘢痕でお試しください)
その傷が手足腕脚にある場合、傷周辺を撫でる、それと全く反対側の腕や足などを撫でる。
感覚はどうですか?同じ感覚ですか?
つまようじでつっつく、ホッカイロなどを当てる、冷たいスプーンなどで触る、ほわほわのぬいぐるみで撫でるなどなど、違った感覚でも試してみてください。
感覚の違いに気が付く人もいるかもしれません。
傷を軽く押しながら、左右や上下に揺らしてみてください。
傷の表面ではなくその下の方の動きが、傷がない側の動きと比べて、固く動きにくい感じはありませんか?
傷を軽く押し、上に引っ張ります。
その状態で傷付近の関節を動かしてみてください。何も触っていない時より動きやすくなりませんか?
上以外にも下・左・右・斜め8方向で試してみて、一番関節が動きやすくなる場所が見つかるかもしれません。
手術などで大きな傷跡がある場合、その傷跡を左右から指を当て、左右に引っ張る、またはS字に押すことができますか?
その状態でしばらく待ちます。
その後付近の関節の動きはどうですか?
体幹に傷跡がある場合はその後呼吸が深くなる感覚はありますか?
Lewit, Karel and Sarka Olsanska. “Clinical importance of active scars: abnormal scars as a cause of myofascial pain.” Journal of manipulative and physiological therapeutics 27 6 (2004): 399-402 .
感じにくい感覚があったり、皮膚を引っ張ると関節の動きが良くなる場合は、傷跡をケアしていくことの大切さが分かると思います。
筋膜には全身をつなぐネットワークとしての働きがあるため、そこに動きにくい感度の低い傷跡ができてしまっていることは、傷跡と関係ない場所での痛みの原因になっている場合もあるのです。
滑らかで動きやすい傷跡は、近くの関節の硬さを防ぐだけでなく、ネットワークの働きをできる限り保つことにつながります。
神経系の働きを考えてみても、神経の特徴は「使うか・失うか」なので、触覚刺激を試して感覚が薄かったということは、感覚をキャッチするセンサー自体の働きが落ち、クリアでないボディマップの原因になっているかもしれません。
ボディマップの話は前回のブログに…
特に外科手術をされたことがある方は傷が深く届いているので、このようなケアをしてあげることは生活の質を保つためにとても大切です。
スタジオにお越しくださったクライアントに、過去の怪我や手術歴をお伺いしているのはこういった背景を把握している方がずっと効果的な運動指導(それにつながるケア)ができるからです。
具体的な傷跡ケアの方法について今月のおうちでピラティスで配信します。
こんな感じでちょっと普通のオンラインピラティスではやらないようなマニアックな配信が多いおうちでピラティス、コロナ禍から続けてはや3年。
これからも続けていこうと思いますのでお楽しみに。
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VAKテストというものをご存知ですか?
視覚・聴覚・身体感覚のどの感覚を優位に使っているかを診断する簡単なテストなのですが、ふぅん、こんなのがあるんだ、と気軽にやってみたら私は聴覚優位でした。
やっぱりね、という感じです。
木の葉が風でざわざわと鳴る音や、波の音、小鳥のさえずりなんか聞いていると心底幸せ感じる人間です。
だから何という感じですが、人によって同じ物事でも受け取り方が違うのは、色んな意味で受け取り方にクセがあるものだからなんだよな、と改めて思いました。
気になる方はどうぞ。